2009年7月22日皆既日食。何がどうなるのか説明されても一向に分からない私と、必死に誘う友人。現在、鹿児島県に居住しているため、本土からでも1分弱観賞できるらしい。でも、少し離れた離島に行けば、4分近く観賞できるのだと友人は言う。
「こんな機会めったにないしさ。一緒に行こうよ」
ぎりぎりまで悩んだが、結局仕事が入り、離島に赴く事はできなかった。友人は最後の最後まで残念だ、と言いながら離島に旅立った。
当日7月22日。あいにくの悪天候。職場近くの公園で私はひとり、観賞することにした。道行く人が皆、空を仰いでいる。夏休みの小学生も、外回り中のサラリーマンも、トラックの運転手も。みんな何かを祈るように、空を見つめていた。
10時55分頃、急に気温が下がった気がした。曇り空がもっと深い色になる。日食グラス越しに、太陽が三日月のように欠けていた。
思わず友人に電話する。
「そっちはどう?こっちは太陽が三日月みたいになってるよ」
興奮気味にしゃべる私とは対照的に、友人はちょっとしょんぼりしていた。どうやら悪天候で見られなかったらしい。
「でもさ、みんながいっせいに空を見上げるって素敵だね」
友人のその言葉に私は深くうなづいた。